敬志の取りざた

takashiの日記

傘に使う耐熱布は市販品を利用できる可能性が高いので、コスト面でも競争力がある。

傘を広げてから約3カ月後の5月14日夜、EGGの軌道が高度200キロメートルを切ると、大気が濃くなるため空気抵抗が急激に増してスピードが落ち、翌15日早朝、太平洋ハワイ 西方の推定高度約95キロメートルでの通信を最後に燃え尽きた。
宇宙空間で傘を広げ、超高空で減速すれば、再突入で問題となる火の玉状態を回避できる。
一般的に宇宙船や探査機は超高速で大気圏に再突入し、大気が濃い高度約50キロメートル以下で大きな空気抵抗を受けて急減速する。
宇宙船の立場から見ると、高密度の大気の塊が超高速でぶつかって急激に押しつぶされることになる。
すると空気の中の分子同士が激しくぶつかって高熱が生じ、火の玉状態になる。
現行の再突入技術は火の玉状態にいかに耐えるかに工夫を凝らしている。
米国のスペースシャトルや日本の小惑星探査機はやぶさの地球帰還カプセルなどには、高度の耐熱技術が用いられている。
これに対し、EGGで実験さ れた新技術は火の玉状態を回避することに眼目を置く。
大気圏再突入の安全性や信頼性が現行のシステムより格段に高まるとEGGの研究グループ代表の鈴木宏二郎東大教授は強調する。
高度50キロメートルまで降下する前に減速が終われば、後は垂直に落ちていくだけだ。
その際、傘がパラシュートの役割を果たす。
海上に着水すれば、ガスを詰めた部分が文字通り浮輪となる。
傘に使う耐熱布は市販品を利用できる可能性が高いので、コスト面でも競争力がある。
ガスで膨らませた傘を再突入に使うアイデアはかなり以前から、内外のSF作品に登場している。
日本では1985~86年にテレビで放送された機動戦士Zガンダムで、モビルスーツが地球に降下する際に用いられた。